フランスにおける日本アニメ・マンガへの情熱は、もはや一時的なトレンドではない。毎年パリで開催されるジャパン・エキスポは、昨年2023年の7月13日から16日の4日間で、延べ25万5037人という歴代最高の来場者数を記録した。こうした数字は、フランスのアニメ・マンガ文化がいかに深く根付いているかを物語っている。 フランスでのこうした人気は、古くは1970年代のロボットアニメ作品にさかのぼる。永井豪の「マジンガーZ」や「UFOロボ グレンダイザー」といった作品は、フランスのテレビで放映され、何世代にもわたるファンを生み出した。2019年には鳥山明氏がフランスの芸術文化勲章を受章、さらに2021年にはパリ日本文化会館で永井豪の原作アニメの回顧展が開催され、記録的な盛況となるなど、こうしたレトロ作品への郷愁も健在である。 しかし注目すべきは、ファンダムが拡大しているだけでなく、日本の業界側も積極的に欧州市場を意識し始めたことだ。インターネットとNetflixなどのストリーミングプラットフォームの普及により、フランスを含む欧州のアニメ・ファン層は今なお拡大を続けている。これに応じて、日本の出版社やアニメスタジオが仏企業と組んで、現地市場向けに作品を展開する事例も増えている。 もう一つの転換点が、ファンの層の多様化だ。これまでのロボットアニメへの郷愁から、最新のウェブ発マンガの発掘まで、フランスのファンの関心は実に幅広い。さらに、アングレーム国際漫画祭といったヨーロッパ最大級のイベントでも、日本の作品や作家が主要な位置を占めるようになり、欧州全体での日本コンテンツへの評価が高まっていることが窺える。 こうした変化は、日本のアニメクリエイターたちにとって新たなチャンスをもたらしている。世代を超えて根付いたフランスのアニメ・マンガ文化は、単なるビジネスチャンスにとどまらず、グローバルな視点で創作を考える若い世代のモチベーションにもなっているのだ。フランス発のトレンドが、日本の制作現場全体を動かし始めている時代なのである。