イタリアではペットへの向き合い方が大きく変わりつつあります。今、ペットを単なる「動物」ではなく「家族の一員」として扱う流れが強まり、それが市場全体に影響を与えているのです。 イタリア統計によると、2025年時点で54.5%のイタリア家庭がペットとともに暮らしており、特に子どもがいる家族ではその割合が66.7%に跳ね上がります。ペットの総数は約5,360万頭で、犬が910万頭、猫が1,100万頭、そして金魚などの魚類が2,500万頭以上という構成です。小型犬の飼育が特に増えているなど、ペット文化は着実に広がっています。 こうした背景から、イタリアのペット食市場は大きく伸びています。2024年のイタリアの犬猫食市場は31億2,500万ユーロに達し、前年比3.7%の成長を記録しました。2021年から2024年の3年間では、年平均9.8%の成長を遂行しており、市場規模は24億ユーロから31億ユーロへと飛躍的に拡大しています。 興味深いことに、この成長は販売額(金額)による増加であって、販売数量(トン数)の増加ではありません。販売量はほぼ横ばい状態が続く一方、商品の単価が上昇しているのです。2024年のペットフード平均価格は2.8%上昇しましたが、インフレーションが原因ではなく、飼い主たちが「プレミアム化」するより高品質なフードへシフトしているためです。 ペット食の内訳を見ると、猫食が市場全体の56.3%を占めており、なかでもウェット缶詰が35億ユーロと圧倒的な人気です。ウェット猫食は前年比5.3%増加、猫用スナックは10.2%増加と、好調な伸びを見せています。 イタリアの飼い主たちは栄養面にも目を光らせています。関節の健康、消化、体重管理などの特定の健康課題に対応した機能性ペットフード需要が急増しており、単に腹を満たすだけではなく、ペットの健康寿命を延ばすことに関心が集中しています。同時に、環境への配慮も無視できない要素です。生分解可能なパッケージや再生可能素材の使用を求める声が強く、ペット食企業もプラスチック削減や持続可能な包装への転換を加速させています。 イタリアはヨーロッパ有数のペット市場であり、ペット関連産業全体の売上は年間約70億ユーロに達しています。その3分の1以上がペット食・ケア関連で占められており、ドイツに次ぐ規模を誇ります。人口が小さいにもかかわらずこれだけの市場規模を保つのは、ペット飼育率の高さと、各ペットに対する支出の増加を物語っています。経済的な困難がある時代でも、愛するペットのための投資だけは切り詰めない―イタリアの家庭の優しさと覚悟が、ペット市場の安定成長を支えているのです。