2026年6月、アメリカのNASAが火星で新たな発見を発表しました。火星探査機パーサヴィアランスがジェゼロ・クレーターの「ブライト・エンジェル」という地層から、数百個の有機物を検出したのです。これらの有機物は、マクロモレキュラー・カーボン(大規模な炭素分子ネットワーク)と呼ばれるもので、かつて液体の水が存在した古い泥岩に保存されていました。 注目すべきは、検出された有機物の多様性です。検出された分子の中には、地球のDNAの前駆体に構造が似た窒素を含む化合物も含まれていました。これまでの火星表面での有機物検出の中でも、最も堅牢で多くの検出例が確認されたものとなります。これらの物質は約35億年前から火星の岩石内で保存されていた可能性があります。 しかし科学者たちは慎重です。有機物が必ずしも生命の証拠とは言えません。有機物は生物由来のプロセスでも、隕石からの供給など非生物的なプロセスでも形成される可能性があります。パーサヴィアランスのチームは、今後さらなる分析が必要だと述べています。 興味深いことに、ほぼ同じ時期にNASAのキュリオシティ・ローバーもゲール・クレーターで異なる有機化学物質を発見しました。窒素含有複素環化合物やメチル安息香酸など、21個の多様な有機分子が3.5億年前のクレーを持つ砂岩から抽出されたのです。火星の異なる場所で、長期間にわたって有機物が保存される可能性を示すこの発見は、将来の火星サンプル・リターン・ミッションへの期待をさらに高めています。