西アフリカの経済大国ナイジェリアが、急速にAI先進国へと変わりつつある。先月中旬、中国の領事館高官がナイジェリアが世界のAI利用頻度で第2位に浮上したことを明らかにした。インドが1位、ナイジェリアが2位という順位は、両国がいかに急速にAI技術を社会に取り入れているかを物語っている。 この急速な変化の背景にあるのは、インフラ整備への投資である。ナイジェリアは2026年の上半期、ラゴスのレッキーとイケージャに国初の専用AI向けデータセンターを建設している。同時に、シャングリラで開催された2026年世界AI会議の影響を受け、中国はナイジェリアを含む発展途上国を対象に、今後5年間で5000人分のAI訓練機会を提供することを発表した。 政策面での動きも活発だ。ナイジェリアは年初、アフリカ初となる包括的なAI規制法案を可決する直前の段階にあった。この「国家デジタル経済・電子政府法案」は、データ、アルゴリズム、デジタルプラットフォームに対する規制当局の権限を強化するもの。2024年に発表されたAI戦略案から2年、ようやく具体的な規制枠組みが動き出そうとしている。 一方、先週は別の課題も浮上した。ナイジェリアンメディア業界が、グーグルやメタ、Xなどのテクノロジープラットフォームおよび生成AI企業に対する調査を開始したのだ。背景にあるのは広告収入の喪失。生成AIが報道記事を訓練データとして許可なく使用しているという懸念が、ナイジェリアのジャーナリズムの経済的持続可能性を脅かしている。 スタートアップ業界も成長を続けている。ラゴスの技術コミュニティは活発で、ナイジェリア発のスタートアップは金融技術、農業、教育、医療、物流、サイバーセキュリティ、カスタマーサービスなど多岐にわたる分野でAIソリューションを展開している。 IMFの最新報告書によれば、ナイジェリアを含むサハラ以南アフリカは、適切なインフラと人材育成に投資すれば、今後10年でGDPを4%押し上げる可能性がある。ただし、投資がなければその効果は0.2%に留まるという警告も示されている。ナイジェリアはいま、AI時代への賭けをどこまで本気で進めるかの分岐点にいるのだ。