南アジアの経済大国インドで、日本の漫画とアニメがトレンドとなっています。市場調査によると、インドのアニメ市場は2025年に12億2400万ドルの規模に達し、2034年には33億2200万ドルへと成長する見通しで、年間11.26パーセントの成長率が予想されています。漫画市場も同様に拡大しており、2025年に6億1590万ドルだった市場規模が、2034年には35億4930万ドルへと急増する予測となっており、年間成長率は20.84パーセントと極めて高い数字です。 この急成長を支えているのは、NetflixやAmazonプライムビデオ、Crunchyrollといった大手配信プラットフォームがアニメコンテンツの充実に投資している点です。特にCrunchyrollはソニー傘下で、2021年の買収後に2023年にインドへ正式参入し、現在インドは世界中のアニメ市場の中でも有数の成長地域となっています。インド国内で人気を集める作品も増えており、「鬼滅の刃 柱稽古編」はNetflixインド版で9週間連続でトレンド入りするなど、強い人気を獲得しています。同じく漫画原作の「DANDADAN」もインドのトップ10に入るなど、多くの作品が視聴者の心をつかんでいます。 こうした成長の背景には、インドの若年層が日本文化にますます関心を持つようになったこと、そしてインターネット利用率の向上があります。コロナ禍以降、インドの漫画・アニメ市場は300から400パーセント増加したとの報告もあり、デジタルコンテンツ消費が大きく拡大していることが窺えます。出版社やプラットフォームも対応を加速させており、VIZ MediaやPenguin Random House、地元のPopcorn Publishersといった企業が地域言語への翻訳や地域化に力を注ぐことで、言語の壁を取り除き、輸入版よりも手頃な価格で漫画を提供する動きが広がっています。Amazon IndiaやFlipkartなどのオンラインマーケットプレイスで漫画の販売が容易になったほか、独立書店やコミック見本市でも漫画が目立つようになり、インドでの文化的地位が着実に高まっています。 2026年1月に開催されたデリーのワールドブックフェアには35ヶ国から1000の出版社が参加し、インド国内での読者層がジャンル横断的に広がっていることが示されました。従来のセンセーショナルな少年漫画だけでなく、青年漫画や日常系、小説など多様なジャンルへの関心が高まっており、インドの読者が洗練された嗜好を示していることがうかがえます。これまでマニア的な「オタク文化」の領域に留まっていたアニメと漫画が、インドでは確実に主流娯楽へと転換しつつあり、今後も日本のコンテンツクリエイターにとって無視できない市場へと成長していくと予想されます。