イギリスではこの数年、ペット文化に大きな変化が起こっています。 最新のデータから見えるのは、まず人口増加です。2026年時点でイギリスのペット総数は3650万匹に達し、特に犬の数が急速に増えています。わずか5年間で犬の個体数は1250万匹から1550万匹へと伸び、犬を飼う家庭の割合も33%から41%へと上昇。イギリスの家庭の約62%が何らかのペットを飼っている状況です。 ペットの種類の好みも変わってきました。かつてはケネルクラブ登録の純血種が主流でしたが、ここ10年で大きな転換が起こっています。10年前には新しく販売される子犬の82%が純血種だったのに対し、現在は65%まで低下。一方、コッカプーやゴールデンドゥードルといった「デザイナー犬」と呼ばれるハイブリッド犬種は、18%から35%へと急増しています。 より興味深いのは、ペットの世話方法に関する価値観の変化です。多くのイギリス人飼い主が、仕事が職場に戻る中で、信頼できる専門的なペットシッターや犬の散歩サービスへの需要を高めています。飼い主たちが求めているのは、登録済みの専門家による個別対応のケアです。ペットシッターの安全基準も上がり、個性に合わせた食事管理やお世話のプランが主流となりつつあります。 テクノロジーの活用も急速に進んでいます。スマートフィーダーやGPSトラッカー、ペットカメラなどのスマートペット機器は年間34%のペースで成長し、イギリスのペットテック市場は4億2000万ポンドまで拡大。AI搭載の健康監視機能が成熟し始めたことで、飼い主は獣医と共有できるペットの睡眠データや活動量、摂取カロリーなどを自動収集できるようになりました。 もう一つの注目すべき変化は、ペットとの暮らし全体の再考です。若い世代の飼い主たちは、ガーデンセンターで季節感のある屋外ペットグッズに注目し、庭や自然の中でペットとの時間を過ごすライフスタイルへシフトしています。王立園芸協会(RHS)が初のペット向けガーデンコレクション「Pets in the Garden」を立ち上げたのも、この流れを象徴する出来事です。 イギリスの犬の飼い方は、単なる家族の一員を迎え入れるスタイルから、個別のニーズに応じた専門的で、テクノロジーも活用した、より思慮深い関係へと進化しているといえます。