オーストラリア政界の激変、ポピュリスト政党「ワン・ネーション」が下院初当選
2026年5月、オーストラリアの政治地図が大きく塗り替わりました。ポーリン・ハンソン議員が率いるポピュリスト政党「ワン・ネーション」が、下院(オーストラリアの国会にあたる衆議院)で初めて議席を獲得したのです。
ニューサウスウェルズ州のファラー選挙区で行われた補欠選挙で、ワン・ネーション候補のデイビッド・ファーリー氏が約59パーセントの得票率で当選しました。同選挙区は農業地帯を含む南西部の保守的な地域で、元農業ビジネスコンサルタントであるファーリー氏が力強い支持を集めたのです。
今回の勝利が歴史的である理由は、ワン・ネーションが長年、オーストラリアの地方議会や州議会では議席を持ちながらも、全国レベルの下院では存在感を示してこなかったことにあります。それが遂に国家レベルの議員を送り出すことになった、というわけです。
同じく2026年の初めには、政治的な波乱が相次ぎました。2月には野党・自由党の指導者争いが行われ、新しい指導部が生まれています。また農村部を支持基盤とする国民党でも3月に指導者の変更が起きるなど、オーストラリア政界は大きな転換期を迎えている様子が見えます。
州レベルでもワン・ネーションの躍進は顕著です。3月の南オーストラリア州議会選挙では、同党が上院で3議席、下院で4議席を獲得し、南オーストラリア州における過去最高の成績を記録しました。これまで州内で優位にあった野党・自由党の支持基盤が、大きく縮小したのです。
オーストラリアの政治は、長く二大政党(労働党と自由党)による安定した構図が続いてきました。しかし近年の経済状況や政策課題をめぐる不満から、ワン・ネーションといった左右の主流から外れた政党への支持が高まっている傾向が窺えます。これが国家政治の安定性にどのような影響を与えるのかは、今後の焦点となるでしょう。