2026年2月初旬、フランスが新年度予算を成立させた。4ヶ月にわたる与野党の激しい対立を経ての成立は、議会内の複雑な力学と妥協の産物である。 セバスチャン・ルコルヌ首相率いる政権は過半数を割る少数派政権で、常に不信任動議の脅威にさらされていた。左派勢力とそれに同調する政党が提出した不信任動議は289票中260票を獲得したが、政権打倒に必要な票には9票足りなかった。一方、極右勢力が提出した動議は135票に留まり、両方の不信任動議は失敗に終わった。政権は社会党などの穏健左派と保守系議員の支持を失わずに乗り切ることができたのだ。 成立した予算の主要な内容は、フランスの赤字削減と防衛力強化に焦点が当たっている。赤字はGDP比5.4パーセントから5パーセントへと削減される見通しで、本来掲げていた4.7パーセント目標から後退したものの、それでも一定の財政規律を示すものとなった。防衛費は65億ユーロ(約77億ドル相当)の大幅な増加が盛り込まれ、ルコルヌ首相はこれを「予算の心臓部」と表現している。税制面では、特定の企業への課税強化により約73億ユーロの増収を見込んでいる。社会党が推し進めようとした富豪への富裕税導入は実現しなかった。 こうした厳しい予算協議は、フランスの政治制度における多くの課題を露わにした。ルコルヌ首相は就任から数ヶ月で既に数々の政治的困難に直面しており、首相としての長期的な安定性については見方が分かれている。予算成立により一時的な安定がもたらされたとも言えるが、2027年の大統領選挙に向けた政治情勢は依然として流動的で、フランス国民の間でも政治への信頼度には揺らぎが見られる。